SI住宅
Skeleton & Infill

 総務庁統計局編「2003年世界の統計」によると日本の年間住宅建築数及び住宅ストック数は欧米主要国に比べ単位人工あたりそれぞれ次のとおりになります。

住宅建築数
 アメリカ合衆国・フランス         の約2倍
 イギリス・イタリア             の約3倍
 スウェーデン                の約7倍

住宅ストック数
 アメリカ合衆国              の約90%
 イギリス                  の約80%
 フランス・スウェーデン          の約70%

いかに日本の住宅は寿命が短いものを建てられてきたかがわかります。

ここ数年バブル経済が崩壊し,大量生産,大量消費の時代のマスハウジングが生み出した画一的な住宅環境の改善にあたり,エコロジー、サスティナブル(持続可能)という観点からSIが注目を集めています。

 SI住宅 − 百年住宅構想

SIとは1960年代はじめオランダの建築家N.J.ハブラーケンがその著書「サポート:マスハウジングに代わるもの」で提唱された設計概念です。(マスハウジング ・・・ 大量供給自由宅)

S − Skeleton(骨格)   柱、梁、外壁、床、屋根
I − Infill(内部)       内装、設備、キッチン、浴室等

 建物とは100年以上の耐久性を持つ骨格部分と10年〜30年で改装、改築を必要とされる内部部分でできています。これまでは骨格部分は丈夫でも間取りや内装,設備の寿命により30年程度で全体を壊され新しく立て替えられてきました。

 そこで骨格と内部を切り離した建物を建てる。骨格はあくまで頑丈に、内部はそこに住まう人の家族構成の変化や時代の流行、技術の進歩などに対応させる。そういう考え方で建てられた住宅をSI住宅といいます。

 そのために従来家の大きさを示す○○LDKという考え方をやめ、一つの空間を耐久性の高い骨格で包みその内部を必要におおじて区切っていく。そこに住む家族の変化に伴い内部空間をフレキシブルに対応させていくことによって貴重な財産を親から子へ,そして孫へと受け継ぎ、後維者は住宅ローンの苦しみから開放され生活に豊かさをもたらしてくれます。そして無用なスクラップビルドをやめ、無用な廃棄物も出さず,地球環境にもやさしくなります。

 SIに求めるもの

耐久性      長期間に渡り、数回の内部改装を前提とするため構造的な耐久性
          地震、気候などの天災に耐える強度
          給排水管、ガス管などの修理交換が容易なこと

更新性      効率よく経済的に交換、変更できること

可変性      家族構成の変化,子供の成長、高齢化に対応(バリアフリー)
          将来にわたっての間仕切り等の自由度

 SI手法


耐久性: @地震、台風など自然災害に強い構造とする
        ・ 地盤、基礎等の検討(地盤調査、常水面調査)
        ・ RC、S、木造の構造計算検討
        ・ 木材接合面の金物補強
        ・ しっかりとした設計監理

      A外壁、屋根等を気候、温度変化から守る
        ・ 外断熱工法
        ・ 素材厳選
        ・ しっかりとした設計監理
    
      B設備配管修理のしやすさ
        ・ 床、天井を二重にし、人が作業できるスペースを確保する

更新性: @電化製品の寿命は10〜15年したがって大きさ等を含めたさペース確保
      A仕上げ材料の厳選

可変性: @空間の自由度
        ・ 柱、梁を少なくし、大きな空間を造り、可動家具、可動間仕切り、扉等で仕切る
        ・ 段差を無くし、バリアフリー対応を考慮する

       

全ての住宅建築はその建築工事に際して適切な設計、工事監理がなされ、完成後も恒久的なメンテナンスがなければ長持ちはしません。

現在この考え方を取り入れたH邸の現場進行過程を公開中です。このH邸は他にパッシブソラー外断熱も取り入れています。